ジュリアン リトルトン
南アフリカ生まれ。19歳よりイスラエル国防軍(Israeli Defense Forces)に従事。国境警備、空港警備、人質救護など、数々の危険度の高いミッションに携わってきたセキュリティーのスペシャリスト。日本在住者で彼以上にクラヴマガを体現している人物はいないといっていい人物。 2016年から2018年にかけては、他国の大統領警護チームに対する技術訓練責任者として従事。クラヴマガとその警護への応用はもちろん、セキュリティに関する広範な知識と技術を他国へも教授した。2018年よりマガジムでクラスを指導。実戦的過ぎるクラスは大好評で、マガジムインストラクター達へのクラヴマガの神髄を伝える役割も果たしている。

アヴィ・ナルディアの世界へようこそ
クラヴマガの巨匠からの学びのススメ

2024.08.31

アヴィ・ナルディアの紹介

今回のこのコラムでは、2024年10月19日・20日に開催されるアヴィ・ナルディア氏のセミナーについて、その予備知識を皆さんと共有することを目的にお話しします。
 
アヴィ・ナルディア 2DAY 特別セミナーの概要はこちら
https://www.magagym.com/news/gym/avi_nardia/
 

アヴィは、私にとっての師匠であり、メンターであり、友人であるだけでなく、イスラエルをはじめ世界中で何千人もの人々に教えを授けてきた偉大な先生です。もし私がクラヴマガを代表する人物は誰かと問われれば、アヴィだと答えます。
 



アヴィにとってクラヴマガの追求は、生涯にわたる旅のようなものです。若い頃からトレーニングを始め、世界中の誰からもどんな武道からも何かを学び、応用し、改善し、クラヴマガのシステムに取り入れてきました。
 

また彼の関心は特定の武道に限定しません。クラヴマガはあらゆる武道や格闘技から影響を受けて発展するのがコンセプトですので、アヴィはクラヴマガの本質そのものを体現しています。
 

すべての武道は元来、護身や戦闘を目的に開発されますが、特定の戦い方やシチュエーションに焦点を当てる武道もあれば、一方で広範な状況を扱う武道もあり、様々です。
 

アヴィはそれを本当によく理解しており、できるだけ多くの知識を得て、その背景となる文化を体験し、人々と共に暮らし、その国の人や師匠たちの下で実際に訓練し、なぜそうするのか、なぜその方法で戦うのかを深く掘り下げて理解してきました。



彼は様々な武道のコンセプトを深く理解し、それをクラヴマガの発展のために取り入れてきました。私は、アヴィこそがクラヴマガのシステムを理解し、改善し続けてきた、いまなお存在する唯一の人物だと思います。
 

アヴィは過去、日本に住んで日本の武道を学んでおり、日本文化に精通しています。おそらく私よりも日本文化を知っているに違いありません。彼ほど世界中で広範に、武道や格闘技の知識と経験景を持っている人を他には知りません。
 

とはいえアヴィも年齢を重ねてきているので、まだまだ指導を続けていくとは思いますが、若い頃のように頻繁に世界を飛び回れるとは思いません。



だからこそ、彼が今回日本に来てくれるこの機会は本当に貴重です。あと何回あるのか、あるいは再びこの機会が訪れるのかどうかさえも分かりません。もしかしたら最初で最後の機会かもしれません。
 

ですから、これは私にとってだけでなく、すべての会員の皆さんやクラヴマガに関心のある方にとっても大きな名誉です。一人でも多くの方がこの貴重な機会を体験できることを願っています。

アヴィとの出会い

私はアヴィの名前は昔から知ってはいましたが、直接の会う機会は一度もありませんでした。一方で私の直接の師匠だった人物がかつて、アヴィのもとで訓練を受けていました。だから私はアヴィの人物像や教えについてよく聞いてきました。
 

2018年頃に、私の師匠を通じて、彼と初めて連絡を取ることができました。私の直接の師匠はアヴィの生徒であり、アヴィの下でシニアインストラクターとして活動しています。彼は昨年私をテストして、資格を与えてくれています。その師匠が私とアヴィをつないでくれたのです。
 

この5年の間はコロナ禍のためアヴィと直接会うことはできていませんが、私はリモートで彼から多くの教えを受けました。少なくとも週に一度は彼と話していました。アヴィと話していると、あたかも旧知の友人のような感覚に陥りました。なぜなら私たちは二人とも同じ特殊部隊出身の背景を持っていたからです。



イスラエル自体小さな国なのに、さらにその特殊部隊となると本当に小さなコミュニティです。とても多くの共通の知人がいることに驚き、それだけで親しみを感じました。
 

さらに彼のフレンドリーな人柄もあり、私はどんなことでも話すことができました。とても親しみやすく全く境界もありません。彼は豊富な知識のみならず忍耐力もあり、人の話をじっくり聞き、そのうえで物事を説明することに長けています。
 

特に彼が助けてくれたのは、私の考えをまとめることです。
私はかつて、軍や政府機関に対する指導をしていましたが、日本に来てからは対象がみなさんのような一般人に移行し、その違いに少々戸惑っていました。



元来の私が教えるクラヴマガは軍隊的であり、護身に対する心構えやアプローチも軍の考え方に偏っていました。そのため皆さんにメッセージがうまく伝わらず、フラストレーションすら感じることがありました。
 

そんな時アヴィは対軍人向けから民間人向けの指導にうまく移行するための助言をくれたのです。軍人と一般人では目的も役割も心構えも大きく違います。それゆえアプローチも違ってしかるべきです。
 

それを理解できたのはアヴィが私の理解を手助けをしてくれたおかげです。彼は長い間、私の師として導いてくれました。約5年間、私はほぼ毎週彼と話しをしています。

セミナーについて

さて、10月に開催するセミナーについて話題を移しましょう。

1日目:護身術の巨匠から学ぶ:現代護身術と日本武道の精神

アヴィはクラヴマガの進化と発展に40年以上にわたり、いろいろな側面からで関わってきました。イスラエルだけでなく、国際的にもクラヴマガの発展に非常に重要な役割を果たしてきました。
 

そこでまずセミナー1日目は、伝統的な日本の武道について触れてもらおうと思います。彼は伝統的な日本武道の訓練を受けており、その造詣が深いです。日本の武道とクラヴマガがどのように結びついているか、どのような要素が日本の武道から取り入れられたのかについて伝えてもらいます。



日本の武道からは学べるものがたくさんありますが、そのうえでも彼は非常によい情報源です。彼は日本に来て学び、訓練し、それを持ち帰ってイスラエルで改良し、クラヴマガに必要な技術を導入し、変更した経験を持つ人物です。それぞれ共通点や類似点がわかる、非常に興味深い時間になると思います。
 

また、当然実技の時間があります。ただ話しを聞くだけでなく実際に体験し、オープンな形式で誰でもどんな質問でもできるようにします。できる限りたくさんの質問に答えられるようにしたいと思います。
 

私たちが本当に目指しているのは、伝統的な日本の武道とクラヴマガの間の壁を取り除き、実はそんな壁は存在しないことに気づくことです。むしろ壁ではなく、両者は繋がっているのです。



彼はこのテーマについて話すのに最も適した人物の一人であり、非常に良い視点と理解を持っていると思います。私自身やマガジムの他のインストラクターたちも非常に楽しみにしています。

2日目:世界のVIP警護技術から学ぶ:あなたの大切な人を守るための護身術

次に2日目です。2日目にはまる1日を使って「VIP警護技術から学ぶ」をテーマにセミナーを3つにわけて行います。

 

VIP警護は誰もがやってきたこと

「VIP警護」という言葉を聞くと、非常に自分とは関係のない遠い存在のように感じられますよね。多くの方はボディーガードを思い浮かべ、ケビン・コスナーやホイットニー・ヒューストンの映画の映像、そしてその素敵な主題歌を連想するでしょう。ボディーガードが大統領や王や女王といったセレブリティ守っている姿を思い浮かべます。



つまりVIP警護とは一般人とは縁のない、お金や権力を持っている人々だけに関係があることだと思われると思います。
 

でも、それは誤りです。なぜなら、私たちも皆、ある意味ボディーガードであり、皆さんはそれに気づいていないだけだからです。
 

ボディーガードとは何か。それはVIP、つまりVery Important Person(=非常に重要な人)の命や健康、安全を守る人のことです。
 

その定義によれば、もしあなたが子供時代、小さな弟の腕を持って道を渡ったり、妹の手を握っていたことがあるなら、それはボディーガードです。学校で友人が喧嘩になったとき、友人を助けに入る必要があれば、それもまたボディーガードです。



だから私たちは皆、幼少期から気づかないうちに、ある意味ボディーガードの役割を果たしてきたのです。ボディーガードの肩書や報酬をもらったことがなくても、実態はそうなのです。お年寄りの女性が道を渡るのを手伝ったりするのも、年下の兄弟のお迎えをするのも、酔っぱらった友人の家まで付き添うのも、みなボディーガードです。
 

そして親になり子供を持つと、他人の命に対する責任を引き受けることになるのですから生涯にわたるボディーガードです。
 

そして同時に皆、常にこんな自問自答をします。「私はこの大切な人をいざというとき守れるのだろうか?」「守る能力があるのだろうか?」と。これは何千年もの間、人々が自らに問い続けてきたことです。
 

自分が誰かを守る責任が生じたとき、人は必然的に「こんなことが起こったら、自分なら何ができるだろう?」と自問します。「もし誰かが攻撃してきたら」「もし地震が起こったら?」などと、いろいろな危険のシナリオを考えます。

このテーマを選んだ理由

万が一の危険時に自分の身を守るための解決策として、クラヴマガは存在します。人は自分自身を守るため、その自信と能力をつけるためにクラヴマガを学びます。そして自分を危険から守るためであれば、必要であれば誰でも迷いなくその知識や技術を使うでしょう。



しかし他人を守るためとなると状況が違います。難易度ははるかに高く、非常に難しい問題です。だからこそ、多くの人々が関心を持ち、どうしたらそれができるのだろうと疑問に思っているのです。
 

アヴィの来日にあたりこのテーマを選んだ理由は、彼のこの分野での実績です。彼が何年にもわたって取り組んできたテーマが他人を守る技術です。彼には他のどんなインストラクターも持っていないような経験があるため、そこから学べるのは日本の皆さんにとって本当に有益です。
 

アヴィはこの分野の実績は豊富で、政府だけでなく世界中のさまざまなセクターでトレーニングを提供してきました。一方で彼は一般人向けのジムを運営する立場もあり、一般人にとって必要な技術が何なのかもよく知っています。彼はおそらくこの知識を一般人に提供するのに最も適した人物の一人です。
 

世界のVIP警護に優れたインストラクターたちは現在、さまざまな政府機関に雇われており多忙であり、彼らが一般人に技術を教える機会はほぼありません。ですから、アヴィが日本に来て、このテーマに関する知識を共有することは非常に稀で貴重なです。

初心者にとって有益なのが大事

今回のセミナーはプロフェッショナル養成の視点で設計されていません。初心者や中級者でも十分学べるものが多いよう設計しました。



2日目の第1セッションは座学です。オープンなディスカッションやレクチャーで、理論、技術、知識を、技術練習を始める前に解説します。ひとたび技術練習に入るとディスカッションは難しいので、疑問はすべて事前に答えたいと思います。
 

第2セッションは初心者向にまず抑えて欲しい基本的な実技です。日常生活で起こりうる危ない状況、例えば誰かがあなたの大切な人に 近づいたり、押したり、つかんだりするようなケースを扱います。凶器をもっているような命の危険に直結するシナリオではありませんので、この状況にどう対処するか、必要最小限の力を使って、安全かつ実用的な方法で状況を回避し、退出する方法について学びます。
 

第3セッションでは、凶器で命の危険に直結するような攻撃を受けた場合について扱います。そこで自分がどう介入し、大切な人をどう守ろうとするのかを実践します。このセッションも事前に十分な経験のない初心者からご参加いただけます。
 

ただセミナーまでまだ2ヶ月弱ありますので、それまでにマガジムの武器に対する護身クラスに参加して知識や経験を積んでおくと、得られるものがより大きいでしょう。



でも、それが難しくても、アヴィは非常にシンプルで直感的で理解しやすい方法で物事を説明するのが得意です。教える技術はシンプルに、それをできるだけ多くのシナリオベースのドリルを行い、各状況を実際に体験できることを目指しています。
 

全体を通してオープンなクラスとする予定です。時間内であれば質問は大歓迎です。一方通行ではなく、皆で一緒に学べることが大切です。
 

アヴィも皆さんに教えることを通じ、逆に私たちから学ぶことがあるに違いありません。指導者は、生徒の様子を見て、そこから学ぶことが多くあります。教えた技術が相手にとって簡単なのか難しいのか、どうしたらうまく伝わるのかのヒントを得ます。

最後に

「私は大切な人を守ることができるのか?」という疑問をもったことがある人、そしてその答えをもう少し具体的に知りたいと思っている人には、今回のセミナーはベストです。 

繰り返しますが、今回は誰でも参加できる「導入コース」であり「プロフェッショナルコース」ではありません。
 

すべての方が、4つあるセミナーのうちの一つでも、またはすべてであっても、アヴィに会う機会を得るためにお越しくださるのを楽しみにしています。
 

アヴィ・ナルディア 2DAY 特別セミナーの概要はこちら
https://www.magagym.com/news/gym/avi_nardia/
 

参加できなくても彼と話をするだけで構いません。もしかしたアヴィが日本に滞在中、マガジムクラスにフラッと訪れるかもしれません。多くの皆様がセミナー以外であっても、彼に会う機会を得られることを願っています。
 
みなさんが彼に質問をしたり、彼の考えを共有する機会があるなら、それは私たちにとっても非常に素晴らしいことです。私たちは皆さんの質問にすべてお答えしたいと思っています。
 

それでは10月をお楽しみに!

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この記事の監修者
ジュリアン リトルトン
南アフリカ生まれ。19歳よりイスラエル国防軍(Israeli Defense Forces)に従事。国境警備、空港警備、人質救護など、数々の危険度の高いミッションに携わってきたセキュリティーのスペシャリスト。日本在住者で彼以上にクラヴマガを体現している人物はいないといっていい人物。 2016年から2018年にかけては、他国の大統領警護チームに対する技術訓練責任者として従事。クラヴマガとその警護への応用はもちろん、セキュリティに関する広範な知識と技術を他国へも教授した。2018年よりマガジムでクラスを指導。実戦的過ぎるクラスは大好評で、マガジムインストラクター達へのクラヴマガの神髄を伝える役割も果たしている。
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